「アール・ブリュットは『包容力のあるアート』」
「それは『優しさ』と言えるかも」
そう語るのは東京都渋谷公園通りギャラリー事業課長の大内さん。
東京都渋谷公園通りギャラリーではアール・ブリュットの振興の拠点として展覧会/トークイベント/アートプロジェクト/ライブパフォーマンス/ワークショップ等を行っています。
皆さんはこの「アール・ブリュット」という言葉を聞いたことがありますか?
アール・ブリュットはもともと「生の芸術」というフランス語。美術の正式な教育を受けていない人の制作物の意として1945年にフランス人画家のジャン・デュビュッフェが創り出した概念です。日本では狭い概念である「障がい者のアート」として捉えられることもありますが、今日ではより広い概念で捉えなおそうとする動きが広がっています。
→アール・ブリュットについてより詳しく知りたい方はこちら
今回、私たちwel-beeはアール・ブリュット等の振興の拠点である東京都渋谷公園通りギャラリーを訪問。事業課長の大内さんにお話を伺いました。
東京都渋谷公園通りギャラリーに行ってきました!
今回、私たちは「アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.3 ただよう記憶の世界」という展覧会を見ました!(※現在は終了しています)
視覚や味覚など身体の感覚の「記憶」から生まれた作品が展示されていました。
作品を見ると色が鮮やかで一つ一つの作品が唯一無二でとても美しいと思いました。お財布とかお洋服のデザインにもぴったり!
一般的な美術館ではガラスで作品を覆うことが多いと思うんですが、ここにある作品は覆っていないものがほとんどですよね!
そうですね!本展はほとんどの作品が撮影可能です。カバーを設置していないので光が反射せず、綺麗に撮影できます。また、作品の細やかな表現を楽しんでもらいたいという思いもあります!
その代わり、湿度の管理は徹底しています……!
細かい工夫がなされているんですね!
事業課長さんにお話を伺いました!
今回、東京都渋谷区公園ギャラリーの事業課長 大内さんにお話を伺わせていただきました😭✨
ありがとうございます!!
展示を見て……/アール・ブリュットの魅力
素敵な展示を見させていただき、ありがとうございました! 実際にアール・ブリュットの作品を見て、様々な解釈ができる、それが許されている感じがして、面白いなと感じました……!
私もそのような感想を持っていて、「このコンセプトで作ってます!」というのがあまりなかったり、ミステリアスな部分が大きい作品はとても多いんですよね。
その点、非常に自由さがあるというか、受け止める方に判断が委ねられているというか、ある意味挑戦させられているというか。
だから、鑑賞する側は主体的に作品を楽しむことができる。肩肘張らずにアートと接することができる。
それって、もう少し言うと、なんかすごく「優しい」アートだなって。優しさを持っているアート!
作品自体にすごい包容力があると言えると思うんですよ。
確かに、見ていてそのような感じがしました!
そうなんです! だから、こちらが拒絶されないというか、関わっていける広さを持っている作品たちで、そこがアール・ブリュットの魅力の一つだと思います!
学校・仕事帰りや渋谷で遊んだついでにふらっと寄ってほしい
来てみて驚いたんですけど、すごい良い立地にありますよね。目の前にPARCOがある……! 渋谷はよく遊びに来るんですけど、こんな素敵なギャラリーがあるなんて知らなかったです(笑)
そうですね。渋谷のにぎわいの中心とも言えるロケーションなので、学校・仕事帰りや遊びに来たついでに30分だけでも寄ってみる、みたいな利用の仕方もして欲しいです!
美術館やギャラリーは早く閉館してしまうことが多いですよね。でもここは19時まで開館しています!
※2023年7月28日(金) 8月4日(金)、11日(金)、18日(金)、25日(金)は「サマーナイトミュージアム2023」として21時まで開館
1日の終わりに安らぎの場として、ゆっくりしてみると良いかもしれませんね!
アール・ブリュットを通して様々な背景や価値観が混ざり合う
本当に素敵なギャラリーだと思うのですが、そのコンセプトを教えていただきたいです!
はい! こちら(以下引用)が東京都渋谷公園通りギャラリーのコンセプトです!
東京都渋谷公園通りギャラリーは、
東京都渋谷公園通りギャラリー ギャラリーガイド「事業について」より
アートを通し、ダイバーシティの理解促進や
包容力のある共生社会の実現に寄与するため、
アール・ブリュット等のさまざまな作品を
紹介する展示事業や交流事業、普及事業を展開します
ここにもある通り、このギャラリーはインクルーシブな社会を念頭に、アートを通じて、ダイバーシティや多様な人々が一緒に生きていくことへの気づきを届けられるようなプログラム作りをしています。
インクルーシブな社会を考えていく上で、実際の人との関わりが非常に重要です。なので「交流スペース」では多様な知覚や身体性、価値観の他者と対話・交流できるプログラムも開催しています!
例えば、昨年は「嗅覚」を通じて自分の記憶を辿るというワークショップを開催しました。
そのときには視覚に障害のある方、ない方や、聴覚に障害のある方、ない方も参加し、匂いを通じた記憶を語り合いました。10人規模のワークショップにサポーターも5人ほどつき、みんなが対話できるような環境を作りました。
このワークショップについて気になる方はこちらから
理念に基づいて、他者と交流する機会も作っているのが非常に魅力的だと思いました!
このようなダイバーシティやインクルージョンを推進する場所が作られるきっかけはあったのでしょうか?
1番最初のきっかけはアール・ブリュットでした。
既存の美術の場合、美術関係者が美術館のスタッフとやりとりするなど、背景が一緒の人たち同士のやりとりが多くなると思います。だけど、アール・ブリュットだと、背景や職種や価値観が異なる人々が混ざってくるんですよね。そこで新しい出会いが生まれるのではないか、というのが最初のきっかけでした!
さまざまなバックグラウンドの人が集まる交流プログラムや展示会を通して、当初に思い描いていたことが実現されていますね……! す、すごい……!
ーー今回は貴重なお話ありがとうございました!!
次回のイベントについて
ここまで読んでいただきありがとうございます! アール・ブリュットや東京都渋谷公園通りギャラリーの魅力は伝わったでしょうか。
東京都渋谷公園通りギャラリーでは7月 9日(日)にパフォーマンスイベント「真っ赤なアイドル”AKAZOKU”がやってくる」、
7 月 29 日(土)・ 30 日(日)に関連イベントとして「『なやみの種』上映+トーク」が開催されます!
また、7月22日(土)〜30日(日)には「真っ赤なアイドル”AKAZOKU”がやってくる」のアイカーブ展示として、出演者が着用していた衣装などを展示します!
【概要】 金沢市を拠点に自由に身体表現を楽しむダンスカンパニー「あら・おるズ」を迎え、演奏スタイルや表現のジャンルを超えた自由な即興演奏を基本に、様々なアンサンブルを生み出す「音遊びの会」と、クラシックからジャズ、ラテンなど幅広い音楽を操る、沖縄在住の音楽家・高 雄飛(たか ゆうひ)の音とともにパフォーマンスを繰り広げる。
このイベントはプロのダンサーがディレクションしながら、基本的に障がいのあるパフォーマーが表現します。
このことは非常に意味があり画期的なことだと思っています。私たちにとっても新しい試みなんですよね。
障がいがあるということによって選択の幅を狭めないでいくということが共生社会を作っていく上で大事になるのではないかと考えています。アートでもそのことは言えて、障がいの有無に関わらず表現者として活躍していけるというモデルケースを見せていきたいなと思っています。
【「真っ赤なアイドル“AKAZOKU”がやってくる」詳細】
タイトル | パフォーマンス・シリーズ RAW03「真っ赤なアイドル“AKAZOKU”がやってくる」 |
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日時 | 2023年7月9日(日) [1回目]11時00分~ [2回目]14時00分~ ※各回公演時間は、約60分です。 ※開場は、各回開始時間の15分前になります。 |
会場 | 東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1 |
参加費 | 無料 |
サポート | 14時00分~の回のみ手話通訳付き、ライブでの音声ガイド付き |
定員 | 各回30名 |
出演者 | 浅永弥亮(あら・おるズ)、魚 琳太郎(あら・おるズ)、大家港生(あら・おるズ)、林 芳樹(あら・おるズ) 音楽|高山優大(音遊びの会)、吉見理治(音遊びの会)、高 雄飛 映像|野田 亮 |
スタッフ | 音響|打越俊次(株式会社エヌアンドエヌ) ヘア&メイク|角谷美由紀 衣装|早川ユミ(布作家) |
ディレクター | なかむらくるみ |
協力 | 出演メンバー家族 |
主催 | (公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー |
申し込み開始日 | 6月10日(土) ※先着順・定員になり次第締め切り ※鑑賞する際に必要なことやものがありましたらお気軽にご相談ください。 |
申し込み方法 | 以下申込フォームから、必須事項をご記入ください。 申込フォーム※フォームでの申込が難しい場合は、問合せ先の電話または、メールでお申込ください。 |
問い合わせ先 | 東京都渋谷公園通りギャラリー「RAW03」係 Email:skdg-event2023(at)mot-art.jp ※メール送信時は(at)を@に置き換えてください。 TEL:03-5422-3151 |
【「ダンスドキュメンタリー映像作品『なやみの種』上映+トーク」詳細】
タイトル | ダンスドキュメンタリー映像作品『なやみの種』上映+トーク |
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日時 | ①2023年7月29日(土) 上映|13時30分~ トーク|14時20分~ ②2023年7月30日(日) 上映|13時30分~ トーク|14時20分~ |
トークゲスト | ①2023年7月29日(土) 細馬宏通(早稲田大学文学学術院 教授)、なかむらくるみ、野田 亮 ②2023年7月30日(日) なかむらくるみ、野田 亮 |
会場 | 東京都渋谷公園通りギャラリー 交流スペース |
観覧料・参加費 | 無料 |
定員 | 各日20名 |
サポート | (映像)日本語字幕・手話通訳付き、ライブでの音声ガイド付き[7月30日(日)のみ]、(トーク)手話通訳付き |
主催 | (公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー |
申し込み開始日 | 7月1日(土) ※先着順・定員になり次第締切 |
申し込み方法 | 以下申込フォームから、必須事項をご記入ください。 申込フォーム※申し込みフォーム公開は2023年7月1日(土) ※フォームでの申込が難しい場合は、問合せ先の電話または、メールでお申込ください。 |
問い合わせ先 | 東京都渋谷公園通りギャラリー「RAW03」係 Email:skdg-event2023(at)mot-art.jp ※メール送信時は(at)を@に置き換えてください。 TEL:03-5422-3151 |
【アイカーブ展示 詳細】
タイトル | RAW03 アーカイブ展示 |
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会期 | 2023年7月22日(土)~ 30日(日) |
開館時間 | 11時~19時 ※2023年7月28日(金)は21時まで |
休館日 | 2023年7月24日(月) |
会場 | 東京都渋谷公園通りギャラリー 交流スペース |
観覧料 | 無料 |
主催 | (公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー |
まとめ
いかがだったでしょうか? 少しでもアール・ブリュットや東京都渋谷公園通りギャラリーの魅力が伝われば幸いです! 皆さんもぜひ、足を運んでみてください!
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-19-8
渋谷区立勤労福祉会館1F
電話 : 03-5422-3151
FAX : 03-3464-5241
開館時間 : 11時〜19時 ※2023年7月28日、8月4日、11日、18日、25日の金曜日は「サマーナイトミュージアム」のため21時まで開館
休館日 : 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始および展示替え期間中
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