概要
今回の企画は4人で同じ本を読み、感想を語り合うことで福祉への理解を高めようという企画です。
今回選んだ本は・・・・
黒川祥子著『県立!再チャレンジ高校~生徒が人生をやり直せる学校~』です!
個性豊かな4人がこの本を読んでどのような事を感じたのでしょうか?
それでは見ていきましょう。
あらすじ
小学校・中学校では「うまくいかなかった」子どもたち――そんな彼らのために設立された“やりなおしの高校”(再チャレンジができる学校)で繰り広げられた教師と生徒の葛藤、魂のぶつかりあい……。日本に本当に必要なのは進学校じゃない。苦しい生徒に寄り添い続ける、こんな学校だ!
目次1章 ひどい学校 2章 貧乏神と熱血漢 3章 改革前夜 4章 すべては生徒のために 5章 再チャレンジ・スクール 6章 卒業後の居場所
小学校・中学校では「うまくいかなかった」子どもたち――そんな彼らのために設立された“やりなおしの高校”(再チャレンジができる学校)で繰り広げられた教師と生徒の葛藤、魂のぶつかりあい・・・・・・。日本に本当に必要なのは進学校だけじゃない。苦しい生徒に寄り添い続ける、こんな学校なんだ! 卒業後の居場所かつて「底辺校」と呼ばれていた高校を「生徒の居場所となる学校」に変えていく――すべては教師たちの情熱から始まった。実話を元に描いた感動の物語。
引用) 講談社BOOK倶楽部, 「県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校」, 『県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校』(黒川 祥子):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp), (2022.3.20)
メンバー紹介
太郎:新書ばかり読んでる変人。
ぴっぴ:小説をこよなく愛し、短絡的な思考回路を有するひよこ。
うみ:寝ている時が一番幸せなインドア派。
yuka:食べることが生きがいな人
感想
まず、意外と専門用語が多いことに驚いた!思っていたよりも読み応えがある本で、考えさせられることばかりだったな。読後一番疑問に思ったのは、この本が出版された2018年から今、どんな変化があったのかなってところかな。
この本を読んでまず思ったのは、連携が大事だってことかな。1人の先生だけが頑張るんじゃなくて、いろんな先生たちが協力し、自分の得意なことを活かして生徒たちを支援していたのが印象的だった。 あとは卒業後の支援についてかな。この本に出てきた生徒たちって親にも頼れないって子がとても多かったと思うの。だから学校を離れたあとも彼らが上手く社会でやっていけるように、もし何かあったときに彼らが頼ることのできる場所を作ってあげることが必要なんじゃないかな。 誰かのためにここまで動ける人がこんなにもいるということにとても驚いた。私は福祉のことについて全然知らなかったので本を通じて知ることができて、自分にも何かできることがあればいいなと思った。 この本を読んで思ったのは先生たちが主導で支援を行うのではなく、生徒と一緒に未来を作るということを意識しているなということ。支援者主導になっていないかを考えるのは重要な事だと思ったよ。 公立でこういう事してるの珍しいよね。私立なら実施しやすいと思うけど。 でもあれだよね、私立だと割とお金持ちが多いイメージだから、公立の方が困っている人いるんじゃないかな? 「高校における学校間格差の構造はまさに階層化されてしまった社会の縮図のようだよ」(p.60 2、3行目)という一文が印象的だったなぁ。低い所に行ったら這い上がることが難しい状況にあるよね。 国の中枢を担う人は進学校を出て有名大学を卒業してみたいな感じで、エリートが多いと思うんだよね。そういう人達って、困っている人たちの現状をどのくらい知ってるんだろう? 確かにそうだね。現状が現行の法にどの程度反映されているのかな? 近年問題が可視化されてきたヤングケアラ―問題とかまさにそうだよね。昔から起こっていた問題であるはずなのに、私が知ったのは最近……。 興味のない人に行き渡るまでの年数がかなりかかっているのが、結構気になって。なんかやっぱり、現場で働く人って、発信とかは多分、しない。現場のことで精一杯になってるから、それこそ本で私たちも勉強してるし、興味ない人は読まないし、それってやっぱり、偉い人が知ることってないよねって、すごく思う。学校について
公立と私立
学歴社会について
子どもたちの問題の背景にあるものとは…
学校で問題があるとされている生徒たちって、その原因は彼ら自身にあると考えられていることも多いよね。
この本では、親たちも精神疾患や貧困など様々な困難を抱えている様子が描かれていたよね。親が抱えている問題が子どもたちに影響している部分がとても大きいと感じたよ。世代間の連鎖っていうのかな?子どもたちだけではなく、その問題の背景にある彼らの親たちにもアプローチすることが必要なんじゃないかな。
“学校外”の人の存在
この本では学校の先生だけじゃなくて、コーディネーターさんとか外部の人が出てきてたのが印象的だったかな。先生ってやっぱり「先生」だから相談しにくいことってあるよね。その点、外部の人なら話しやすいって部分はあると思うよ。
これってコーディネーターだけではなくてスクールカウンセラーも当てはまるよね。
情報について
閉鎖的な現状
本の中にスクールカウンセラーが出てきたけどみんなは利用したことある?自分も利用しようかなって思ったことがあるけど予約制だし、担任の先生に「なぜ話したいのか」っていう説明が必要で、全然開かれた場所じゃないなって。
うん、それはそうだね。私も使ったことない。予約制なのもそうだし、私の中学校の人数も不登校の人も多くてその人たちでほとんど埋まってた。すごい閉まっているよね。プライバシーっていうのもあると思うけど、紙とかでガラスも全部隠されているからすごい怖いなって思ってた。
本文にも同じような表現あったなって思って。「校長室のドアを開けて待っているよりこっちから出ていったほうがいい」みたいな。そうしたことで状況が改善されて、槙尾の良い雰囲気が出来ていたから。話の流れは変わってしまうけど、福祉業界も同じようなこと言えるなって。
スクールカウンセラーに行っているとあの人病んでいるのかなって思う人が少なからずいる気がする。相談に行っているっていうことを友達に知られたくないと思う人もいると思う。
だから先生から来てくれるとそんなこと思われずに相談できるし、いつも先生と生徒で密接にコミュニケーションとっていたらそんなこと思われずに済むよね。そういう意味でも先生と生徒の積極的なコミュニケーションをとることはいいことだなって思った。
現状の変え方
学外との繋がりとか、そういう所で思ったのは、「自分の現状変えたいな」とか「やり直したい」って思ってても、なんか、どうしたらいいのかわかんない!っていうのが、多いのかなーって思った。
高校行けば「児童相談所に相談しましょう」とか、インバイト、バイトとかもそうだけど、「こうしていけばなれるよ」みたいなのを示してもらえるっていうのが、私がこの高校で一番いいなって思ったところ。多分今だったら、1年目2年目の人とかの前例もあると思うから、こういう人もいたよっていう例も示せるし、未来が見えるようになる。具体的に自分で考えれるようになるのかなって、すごい思った。
確かに。自分の未来描けないっていう子たち多分多かったと思うから、そういう先生みたいな人が引っ張ってくれるっていうのはすごい良いよね。
メディア露出
学校の先生は現場を知らずに職員になってから知ることが多いような気がして、学生の頃から困っている人たちの現状を知っているといいなって思う。私ももちろん思うけど、それってどうなんだろうなと思って困っている人たちからしたら、見世物にされている感ってやっぱあるのかなーと思って。
どうやったらみんな知れるようになるんだろう?
テレビなどのメディアでも特集とかで放送したりしてるよね。最近だとヤングケアラーについて報道されているのを目にしたよ。
学校の授業で出てきたんだけど、生活保護を受けている女子高生?の部屋が映ってパソコンのキーボードも買えないっていうことを言ってた。
その子の部屋には好きなアイドルのポスターだったりとか、アニメのフィギュアだったりとかが飾ってあって、フィギュアを買う金があるなら、キーボードとかも買えるだろうみたいな。そういう、心ない批判があって。それを知って、安易にメディア露出するべきではないなって思った。
そうだね、メディアってかなり無責任だなって私も勉強してて思う。発信して言えばそれで終わりなんだよね。生活保護もらってるからって、なんで好きなアイドルのポスターとかあったらダメなのかっていうことは、生活できればそれで幸せってわけじゃないとすごい思う。
自分が幸せに幸福で生きて行くために、それが必要なら、ちゃんとそのお金の中で使ってるし、問題無いんじゃないっていうのは思う。なんか叩きすぎていて、みんな批判したいだけなのかなと思う。自分より不幸な人を見つけたいみたいなのは、あるのかなあって。
けど、それは余裕がない証拠だからそういうところからも社会の状況が見えてくるなって思う。
さっきの生活保護を受けてた女子高生が批判されたやつだけど、なんだろう日本人が想像する貧困って、本当に食べるものもない、着るものもない、住めない、ほぼ死にそうみたいな、そういうのをイメージする人が多いと思う。でも今の貧困ってそういう人ってほぼいない気がする。
いなくはないかもしれないけど、みんな携帯だって持ってるし、全然見た目じゃ分からないんだよね。でも実は切りつめて生活してたりとか。そういう人たちにもっとスポットライトを当てて、それこそメディアとかがさ、報道とかしてくれればもうちょっと貧困に対するイメージも少しは変わってくるんじゃないかなって思う。 別に家も全然普通にあるし、ごはんも困ってないけど、収入的に貧困である人が増えてきた気がする。そのことから、貧困っていう言葉の意味が曖昧になってきてる気がする。 ボランティアでホームレスの方を訪問する機会があるんだけど、そこにいる方のほうが人生豊かに生きているなって思うことが結構ある。家がないから不幸みたいなのはすごいみんなの意識でしかないっていうのは、私も行って確かにそう思ってたのかなっていうのはあったから。そういうところも、偏見というか決め付けが多いのかなみたいなのは思った。 そういう固定概念ってどこで植えついているんだろう。 多分メディアなんだよね。 あとは、両親の教育だったりとか。 確かに。 どうなんだろうね。みんなは学生生活の中で、福祉について知る機会あった? なかったかも。福祉って聞いて思いつくのは福祉委員会があったことぐらいかも。 ないよね?なんか福祉って文字をまず見ない。教科書に載っているなくらいだったと思う。今話してる私たちもその当事者の方々からしたら、何も知らないのにしゃべってるやつらみたいな感じなんだろうね。 今の時代、平等って言葉を大切にしようみたいな風潮があるじゃん。でも、平等も大切だけど公平って言葉も同じくらい大切だと思う。本当に必要な人には「ちょっと多めにやってあげるよ」みたいな。 これってすごいお節介してるように見えるけど、本当に困っている人にはこれくらい介入して、もう一緒に児童相談所行くとかさ。家庭のところまでガンガン介入していくくらいやらないといけないなっていうのはあるよね。そういうところが日本の自由じゃないところなのかな?って。 さっきのカウンセラーみたいな時の話にもあったけど、全体的に全ての情報が閉ざされているっていうか、知ろうとしていないのかな?なんか。自分から知りたいなって思わないと、取り入れられないみたいなところは凄くある気がする。 確かに。なんか授業でやったんだけど、本当に困っている人って、相談しに来ないケースも多いみたいなんだよね。恥ずかしいって思ってたりとか、やり方が分からないとか、そういう人って多いと思うから、こっちから行くっていう姿勢がすごく大事ではあるよね。じゃないと行かないよね、なかなか情報知ろうなんて思わないしね。 こっちから行くってなると最初は突き放したり、来てほしくないって思う人もいるだろうから心が強くてあきらめない心を持つ人じゃないと本当に助けることはできなさそうだね。 大学生の私たちがこういう現状を知るためにできることは、やっぱりボランティアかな。みんなは何かボランティアやってる? 私は母子家庭向けに食料品などを配布するものと、ホームレスの方々にスープを配りながらお話する、っていう活動に参加してるよ! 私は、障害児のための音楽イベントの運営のボランティアをやってたことがあるよ。 今はやっていないけど、地元の障害者施設でイベントの時とかに利用者さんと一緒に出店を回るみたいな活動に参加したことがあるよ。 みんなすごいね! 私も何か始めてみようかな~。 本の中でずっと印象に残っている言葉があるんだ。「もはや反発する力もないほど、子どもたちからいろいろなものが奪われている」(p.142 8行目)っていう言葉。 何かの本で、「昔のヤンキーとかは破壊の力も体力もあった」っていう感じのことを読んだんだけど、今の子どもはそんな力すらない。そういう人たちが、果たして「助けを求める体力」は残っているのかな。 詳しくは覚えていないんだけど、今の子どもたちって「自分がもっていないもの」に惹かれる傾向があるんだって。 最近流行っているアニメって、戦ってるものが多いと思うのね。それってやっぱり、そういう「力」が今の子どもたちには無いってことを表してるのかな~って、ちょっと思った。 こんな感じで『県立!再チャレンジ高校~生徒が人生をやり直せる学校』を読んだ感想について話し合った私たちですが、 結局まとまった結論は出ず…。 しかし、今回このように話し合ってみて気が付いたことがあります。 この本の中で描かれていた生徒たちの姿はノンフィクションであり、今もなおそのような現状に苦しむ子どもたちは日本国内に存在していると考えられるため、 現代日本社会の大きな課題として、彼らの置かれている過酷な状況を 私たち一人一人が考えていかなければならない ということです。 果たして、皆さんはこの問題についてどう思われますか? 今回の記事ではコメント欄を解放します。 この本を読んだ感想や私たちの感想に対する意見など、皆さんの意見をお聞かせください!!福祉ってどこで知る?
本当に助けが必要な人は援助を受けれているのか
その他にも
大学生の私たちが ”知る” ために
反発する力
まとめ
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