大学での合理的配慮が進められる中で、障害がある学生をキャンパスで見る機会は増えたのではないでしょうか? そのような学生は私たちの関わり次第で大学での過ごしやすさが変わることがあります。
視覚障害を持つ現役大学生はるはるさんに、「大学での視覚障害のある学生との関わり方」を聞く連載、第3弾です!
最近は暑くなり、冷たい飲み物が欲しい季節になりましたね。
私は実習が終わり、いよいよ就活に向けて動き出さなければいけない時期になりました。
さて、話は変わりますが、皆さんこれまでの私の記事は読んでいただけましたか?
下記に過去の記事のURLを記載します! まだ読んでいないという方は前の記事を読んでから、今回の記事を読んでいただけると嬉しいです!
今回は第3弾として、オンライン授業の場合について紹介したいと思います。
新型コロナウイルスの影響によって、大学ではオンライン授業が行われるようになりました。 私もちょうど大学入学時にコロナウイルスの影響を受け、オンラインで授業を受けることになりました……😢
現在では、少しずつ対面授業が行われているところも増えてきているとは思います。しかし、視覚障害者がオンライン授業の時にどのような点に困るのかを知ることで、オンラインで交流やセミナーを受ける際などにも少し役立つ内容も入っていると思います! ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
視覚障害を持つ学生がオンライン授業で困ること
オンライン授業は授業時間にZoom等で行うLIVE配信型の授業とYouTubeなどの動画を配信して期限内に見て課題を行う動画配信型の2種類に分けられます。それぞれの状況について紹介していきます。
視覚障害のある学生がLIVE配信型授業で困ること
新型コロナウイルスの影響で、大学ではZoomが主流になりました。みんなが使えて当たり前のようになっているZoomですが、使いこなせても視覚障害のある人にとっては難しいことも存在します。
それは資料についてと反応やチャットについての大きく2つのことが挙げられます。
資料について
教授によって、授業前に資料を受講者全員に配布してくださる方もいれば、画面共有のみで重要だと思うところは自分でメモしなさいという方など2パターンに分けられます。
1つ目の事前に資料を受講者全員に配布する場合の支障は少なく、配布された資料を自分で拡大するなど、工夫して授業を受けることができます。
しかし、資料の配布がなく、画面共有のみの場合はどうでしょうか?
Zoomは画面を拡大することができません。また、科目によって異なりますが、文字の情報量が多いことで、文字が小さかったり、図や表でも、項目の文字が小さく、グラフで大小はわかっても、何を表しているのかわからないという状況になることがあります。
つまり、視覚障害のある人は画面共有されている資料を画面上で読むことは難しいのです。
このような場合は、第1回目の授業後に、教授にメールを行います。LIVE配信授業の場合は、授業のお知らせと同時に、質問等を受け付けるためにメールアドレスを載せている教授が多いので、直接連絡できるところはとてもありがたいところだと思っています。
メールでは、
- 視覚障害があること
- それによって、画面共有された資料を読むことができずに困っていること
- 配慮事項として、資料を授業前に事前に送ってもらうことは可能であるか
という確認などに関する内容を送ります。
現在では、合理的配慮が認められているため、ほとんどの場合は何かしらの対応をしてもらえるようになり、私自身も実際に資料をもらうことができ、授業を受けることができています。
ただし、理由や根拠などを明確にわかりやすく伝え、なぜ必要なのかを伝わるようにしなければ、認められないこともあると思うので、注意が必要です。
このようにして、配布資料についての問題は解決しています。
反応とチャットについて
次に、反応やチャットについてです。
Zoomには反応のボタンとチャットのボタンがあります。
反応の場合
反応では、拍手やいいね・絵文字など、多くのスタンプがあり、教授が学生からの反応が欲しい時に、ボタンを出すことがよくあります。
しかし、視覚障害者は下の方に出てくるところから反応のボタンを探し、そこからその場にあったスタンプを選ぶことに時間がかかります。
教授によってはある程度の反応があったら次に進むこともありますが、次に進む頃にボタンを押せるということも少なくありません。
そのため、反応をもらう時には進行の方は少し時間を置いてから次に進んでもらえると嬉しいです。
チャットの場合
チャットについては、複数の困難があります。
音声読み上げソフトを使うことで、下の方に出てくるボタンなどのところにカーソルを置くと、読み上げてくれます。
Zoom は、視覚障害をお持ちのユーザーが製品を操作し、認識できるようにしています。 当社の製品は、NVDA、JAWS、VoiceOver、Android Talkback などの一般的な文字読み上げソフトをサポートしています。 さらに、視覚インターフェースは、視覚に関するさまざまなニーズをお持ちのユーザーのために、カラーコントラスト、サイズ、および色の使用法が適切なものになるように設計されています。
Zoom「アクセシビリティ(ユーザー補助)に関するよくある質問」https://explore.zoom.us/ja/accessibility/faq/
講義中でも、必要に応じて使用しますが、チャットを使う際は少し注意が必要な場面もあります。
講義によって異なりますが、チャットを使う場面とそうではない場面を使い分ける場合もあれば、講義中でも自由にチャットをするように指示がある場合があります。
他の人が個人宛にチャットをする場合は良いのですが、全体宛にチャットをする場合、読み上げソフトを使用していると、チャットが来た時点でそのチャットの内容を読み上げるため、講義の声とチャットの読み上げが同時に流れることになります。
チャットの文章が長い場合は、読み上げる時間が長いので、講義の内容が入ってこないということも少なくありません。
そのため、視覚障害のある人がいるということが分かっている場合は、少し配慮をしていただけると助かります。
視覚障害のある学生が動画配信型授業で困ること
動画配信型は期間内に動画等を見て、課題を提出する方法です。
この場合、教授によってバラバラですが、Zoomを録画を公開している場合が多いと思います。その際にどのようなことが必要なのかというと、資料についてです。
LIVE配信授業と同様、動画授業の場合も資料が事前にあった方が嬉しいに越したことはありません。
YouTubeでの動画配信の場合は、止めたい時に、停止ボタンを押すことで、確認をすることができますが、それを繰り返していると、動画を見終わる頃にはかなりの時間がかかっていることになります。
著作権等の関係で渡せない場合もあるとは思いますが、渡せるものについては、事前の資料提供があると助かります。
最後に
今回は第3弾として、オンライン授業時の配慮事項について紹介してきました。オンラインでの授業やセミナー、イベントなど、オンラインで行われるものには参考になる内容だと思うので、記事を読んで生かしていただければと思います。
次回の第4弾では、少し視点を変えて、私が大学入学を決めた理由や、大学入学時にどのような配慮を求めたのかについて紹介したいと思います。
大学入学を視野に入れてる方、配慮事項について知りたい方には参考になる記事になると思います。
第4弾もお楽しみに!
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今回の記事の感想や視覚障害のある人と関わる上で知りたいこと、気になること、当事者からこれを伝えたい、知ってほしいといった内容をご自由にお書きください。今後の記事の参考とさせていただきます。
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